特定技能制度について

「特定技能」とは、2020年4月からスタートした、新しい在留資格です。特定技能では12の分野(旧14分野)があり、分野によって従事できる職種が決まっています。
例えば、同じ特定技能でも「宿泊業」の在留資格では「外食業」の業務をすることはできません。
特定技能の大きな特徴は、単純労働を含む幅広い業務が可能という点です。また、在留期間の上限は通算5年と定められていますが、在留資格の更新制限が外れる(永住権取得に至る)ルートもあります。なお、技能実習から特定技能への移行も可能です。

特定技能1号の対象分野を12へ再編

2022年4月政府の閣議で、特定技能1号の対象となる14の分野について、製造業の3分野(素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業)を統合し、12分野に再編をするという方針を決定しました。

また、現在、産業機械製造業は受入れ見込み数を超えるため、新たな在留資格認定証明書の発行を停止しています。

特定技能「産業機械製造業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置等について|出入国在留管理庁

特定技能制度では、以下のような業種が対象となります。

特定技能12業種 一覧

  1. 介護
  2. ビルクリーニング業
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)
  4. 建設業
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備業
  7. 航空業
  8. 宿泊業
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業
特定産業分野雇用形態従事できる業務試験の種類数(試験区分)
介護直接身体介護および付随する支援業務。訪問系サービス不可。1
ビルクリーニング直接建物内部の清掃業務。1
素形材・産業機械製造・電気・電子情報関連産業直接①機械金属加工鋳造、ダイカスト、金属プレス加工、工場板金、鍛造、鉄工、機械加工、仕上げ、プラスチック成形、溶接、塗装、電気機器組立て、機械検査、機械保全、工業包装
②電気電子機器組立て機械加工、仕上げ、プラスチック成形、電気機器組立て、電子機器組立て、プリント配線板製造、機械検査、機械保全、工業包装
③金属表面処理めっき、アルミニウム陽極酸化処理
18
建設直接型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ /表装、とび、建築大工、配管、建築板金、保温保冷、吹付ウレタン断熱、海洋土木工。18
造船・舶用工業直接溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立て。6
自動車整備直接自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備。1
航空直接空港グランドハンドリング(地上走行支援業務,手荷物・貨物取扱業務等) と、航空機整備(機体,装備品等の整備業務等)。2
宿泊業直接フロント・企画・広報・接客・レストランサービス等の宿泊サービスの提供。1
農業直接・派遣耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)。畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)。2
漁業直接・派遣漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵,安全衛生の確保等)。
養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)。
2
飲食料品製造業直接飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工,安全衛生)。1
外食業直接外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)。1
参考:特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ
  1. 介護
    【概要】
    介護と介護に付随する業務を行える在留資格ですが、訪問系サービスはできません。

  2. ビルクリーニング業
    【概要】
    ビルクリーニング業は、建物の内部を清掃する業務で、場所、部位、建材、汚れ等の違いに応じた洗剤や用具の使い分けなどの専門知識が必要です。

  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)
    素形材
    【概要】
    金属、プラスチック、ファインセラミックス等の素材に、熱や圧力を加えて加工したものを「素形材」といいます。その素形材を部品・部材などに加工。

    産業機械製造
    【概要】
    事務所や工場内で使用される産業用の機械全般(農業、工業、木工機械など)を製造。

    電気・電子情報関連産
    【概要】
    電子機器の組み立てやめっき、機械加工など。

  4. 建設業
    【概要】
    建設分野は、建築大工の他、内装や左官などの仕事があります。2号への移行も可能です。

  5. 造船・舶用工業
    【概要】
    造船・舶用工業分野では、船を製造するための様々な工程において特定技能外国人を受け入れることができます。2号への移行も可能です。

  6. 自動車整備業
    【概要】
    自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備などを行います。なお、自動車の組み立ての場合は、製造業系の分野になります。

  7. 航空業
    【概要】
    航空業は、空港グランドハンドリングと航空機整備の2区分があります。空港グランドハンドリングは、航空機の誘導や移動、貨物の搭降載などを行います。航空機整備では、航空機のメンテナンスなどを行います。

  8. 宿泊業
    【概要】
    宿泊分野では、ホテルや旅館において、フロント、企画・広報、接客やレストランサービスに従事します。
    「その業務に従事する日本人が通常従事する業務については可能」とされているので、ベットメイキングも可能ですが、メインの業務として従事することはできません。さらに、風俗営業法に規定されている「接待」に従事することも不可能です。また、簡易宿所や下宿、風俗営業法に規定されている施設では特定技能外国人を受け入れることができません。

  9. 農業
    【概要】
    農業の業務内容は、耕種農業と、畜産農業があり、それぞれ別の試験が設けられています。農業の特徴は、派遣が認められている点です。

  10. 漁業
    【概要】
    漁業は、「漁業」と「養殖業」の2種類に区分され、それぞれ別の試験が用意されています。

  11. 飲食料品製造業
    【概要】
    酒類を除く、飲食料品の製造、加工、安全衛生まで、飲食料品製造全般に従事できます。

  12. 外食業
    【概要】
    飲食物調理、店舗管理、接客まで幅広い業務ができます。
    引用:出入国在留管理庁(特定技能ガイドブック)